サーマルカメラとは?主な種類や非接触式体温計との違い、活用されている場所を解説!

新型コロナウイルス感染拡大にともない、あらゆる現場でサーマルカメラが活用されるようになりました。非接触式体温計とは違い、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保ちつつ高精度な体温測定を実現するため、昨今の感染症対策で重宝されています。そこで今回は、サーマルカメラの特徴や仕組み、非接触式体温計の違いや、実際に活用されている場所についてご紹介します。

サーマルカメラとは?

サーマルカメラとは、物体の表面温度を計測する熱検知機能を搭載したカメラのことです。サーモグラフィーカメラともいい、もともとは米軍において、夜戦を優位に進めるために開発されたテクノロジーでした。日本においては、ニュース番組やバラエティ番組で目にする機会こそありますが、ほとんど一般的ではありません。

そんなサーマルカメラは2020年以降、サービス業や小売業、観光業など、あらゆる業種での設置・導入が進んでいます。その背景には、新型コロナウイルスの感染拡大があります。感染症対策のひとつである「検温」に、サーマルカメラが有効活用されているのです。

サーマルカメラの仕組みとは?

地球上の全ての物体は、「遠赤外線」と呼ばれる見えない光を発しています。サーマルカメラには、その遠赤外線の強さを測定し、表面温度として表示する機能があります。

遠赤外線は、表面温度に比例して強くなります。サーマルカメラでは、表面温度の高い物体(赤外線の強い物体)を「赤色」に、温度の低い物体(赤外線の弱い物体)を「青色」で画面に表示します。このような画像処理を用いて、視覚的に表面温度がわかるサーモグラフィーを表示する仕組みです。

非接触式体温計の問題点とは?

コロナ禍における今、飲食店などに入店する際は「非接触式体温計」で検温を受けるのが一般的です。非接触式体温計は、相手の肌に直接触れずに体温を計測できるため、感染症対策に有効と考えられています。

しかし、非接触式体温計の有効測定距離は3~5cmです。“新しい生活洋式”におけるソーシャルディスタンスでは、人と人の距離を2m、最低でも1mは空けることを推奨しています。つまり非接触式体温計を導入している飲食店などでは、検温のたびにスタッフ(従業員)との感染リスクが高まるわけです。

感染症対策のカギを握るのが、“熱の見える化”です。サーマルカメラを有効的に活用し、医療機関への相談・受診の目安となる37.5度以上の人をいち早く見つけることが、感染リスク抑制に繋がります。

サーマルカメラができること

サーマルカメラは、非接触式体温計に比べて測定精度が高く、瞬時に多人数を検温できるメリットがあります。ここでは、サーマルカメラが実現する3つのポイントをご紹介します。非接触式体温計との違いにも注目です。

1.離れた場所から体温測定が可能

非接触式体温計の有効測定距離は3~5cmですが、サーマルカメラは1.5~3m離れた場所からも「顔」を認識し、体温測定を行います。感染症対策の観点でいっても、離れた場所から検温できるのは非常に有効です。

2.連続・複数検温に対応

非接触式体温計は、相手の額にセンサーを当てて体温測定を行います。そのため、連続的かつ複数人の同時検温は苦手です。飲食店ならまだしも、たくさんの人が往来する空港やショッピングモールでの検温には不向きな機器といえます。対するサーマルカメラは、複数人の同時検温を瞬時に実現するため、人の往来が多い場所で効果を発揮します。

3.AIの顔認証による高精度な検査を実現

サーマルカメラの中には、測定精度向上を目的に「AI検知機能」を搭載する機種もあります。これはAIが顔認識を行い、額部分の位置を正確に割り出す機能です。非・AI搭載型のサーマルカメラに比べ、高精度な検温を実現すると注目されています。

主なサーマルカメラの種類

サーマルカメラには「ドーム型・バレット型」「ハンディ型」「端末型」といった3種類のタイプがあります。それぞれのタイプについて、特徴と違いをご紹介しましょう。

ドーム型・バレット型

もっともポピュラーなサーマルカメラです。物体の表面温度をリアルタイムかつ高精度で計測し、検知した発熱者は自動追跡可能です。それぞれ形状が異なるものの、基本スペックは同様。なお、設置にはパソコンと専用ソフトウェアが必要です。

もともとは空港や病院での検温、国境警備や構造物診断などに活用されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、最近は百貨店やショッピングモール、学校で見かける機会が増えました。AI検知機能を搭載する機種も多く、測定温度誤差も±0.2~0.3度と高い精度を誇ります。

ハンディ型

ハンディ型は、本体を手に持って使用するサーマルカメラです。有効測定距離は約1mで、ソーシャルディスタンスを確保しつつ、高精度な検温を可能にします。ただ、ドーム型とは違い、複数人の同時検温は苦手です。一人ずつ検温する飲食店などに最適なサーマルカメラといえます。

端末型

タブレット端末型のサーマルカメラです。「一体型」、「スタンド設置型」ともいいます。基本スペックはドーム型・バレット型に近く、認証不要の温度検知機能、AI検知機能を備えています。さらに入場者のマスク着用をチェックする「マスク検出モード」や、顔認証システムに温度測定機を組み合わせた「発熱者検知機能」など、多彩な機能を搭載しています。

サーマルカメラが活用されている場所

サーマルカメラは、人が集まったり、往来が激しかったり場所に設置するのが基本です。コロナ禍において、以下のスポットで活用するケースが増えています。

  • 百貨店・ショッピングモール
  • コンサート会場
  • 映画館
  • 博物館・美術館
  • 学校
  • 公共施設
  • オフィスビル
  • 工場・物流倉庫

これらのスポットでは、一般的な非接触式体温計を用いた検温は時間効率が悪く、人的リソースも必要です。ですが、高性能なサーマルカメラを設置するだけで、発熱者を瞬時に検知可能。あらゆるコストを削減し、感染症対策を効率化させます。

まとめ

これらからの感染症対策に、サーマルカメラを活用した“熱の見える化”は欠かせません。これは飲食店などの個人店も例に漏れず、従来の非接触式体温計を用いた検温では、スタッフの感染リスクが懸念されます。スタッフとお客さまの健康・安全を守るためにも、早い段階でサーマルカメラを設置し、効果的な感染症対策を打ち出しましょう。

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